9月7日(金)
仕事が終わり新宿の駅でたたずんでるとエコエコ山田から電話がかかってきた。
「仕事は終わったのか?よかったらこれからメシでもどうかね?」
久々のキケンな会合だ。きっと誰かが死ぬコトになるだろう。俺達はハンパな飲み方などしない。死者が出ずに済む飲み方を俺達は知らないのだ。
誰が言ったか知らないがまさに『ケセラセラ飲み』なのである。
「山田よ、最近はどんな音楽を聞いているんだい?」
俺達の充実した音楽を更に深いモノにして行くにためには様々な意見交換が必要なんだ。天才同士の親密なシンポジウムさ。
「これを見ろよ。」
ヤツはテーブルの上にゴロンとi-podを投げ捨てた。
「最新のモデルだぜ。数千曲どころの騒ぎじゃない。ハンパじゃない数の曲が収録されているんだ。」
ヤツはグイッとビールを飲み干すとそのコップを壁に向かって思いっきり投げつけた。
「しかし中には岡田有希子と松田聖子しか入っちゃいねえ!」
そう叫ぶや否や山田は俺に殴りかかってきた。俺達は激しく殴り合った。
「俺達今日もドローだな。」
「ああ、最高のパンチだった。」
俺達は居酒屋の通路で大の字で寝転びながら笑い合った。これぞ青春である。青春とはとりあえずタイマンから始めるべきなのである。
気を取り直して熱く語り合った。
桜田淳子とレナード・コーエンは同じスピリットである(山田談)、ゼルダの2ndアルバム『カルナバル』(写真)は人間ならば絶対に聞かなきゃイケナイ1枚である(公式共同声明)、百恵ちゃんのライブはサイキックTVなみのオルタナ感にあふれている(ワタシ談)等、今のロックシーンを真正面から見捉えた有意義な会談だった。
「もう一杯飲みたいぜ!」
俺達は近くにある『CLOP CLOP』に繰り出した。
ドアを蹴破って入ると仰天した。なんとオグちゃん夫妻に原さん、サリーにワタナベマモルさんまでみんな大集結していたのだ。常連ヤスダもいて泥酔してやがる。
『なんなんだよこの夜は!』
俺は頭にきて飲まずにはいられなくなった。サンハウスの『地獄へドライブ』が耳のそばで鳴り響いた。
結局朝まで飲みフラフラになった。涅槃にうごめくへルタースケルターだった。キョンキョンの写真集『わたし今日子』で垣間見たキョンキョンのケツの割れ目の感動をノドから血が出るほど語りまくった。俺には語らなきゃナラナイコトが山ほどあるのだ。
明け方になり10何年ぶりに高円寺のサリー宅にお邪魔する。昔はここでよく飲ませてもらった。ノスタルジーが胸に去来する。あの頃はのしかかってくる未来など何処にも存在しなかった。
随分遠くまで来た訳だが、実際は誰も何も変わっちゃイナイ。それぞれの表情をノゾキ見る限りでは何もワカラナイ…。
『昔はこうして皆で昼まで飲んだモノさ!』
俺は怪気炎を上げる。しかしながら我々はもう一滴も飲めなかった。
俺は久しぶりに深く深く熟睡した。

