7月14日(火)
アーチストとしてこれじゃダメだ、失格だなと思いつつ、夜、部屋に戻るとバタンキューで眠ってしまう。
帰宅後30分と起きていられナイ。
「マジでチカレタ…。」
ヘタリ牛のようにうめくのさ。
社会人よ、疲労困憊はお互い様だ、でもオレは狂ったように眠みーんだ。
この疲労感、やはり年齢的なコトかしら?ワタシもうジジイなの?眠い、ジジイ、眠い、ジジイ。とにかくオレは眠いんだ。
超ド級のショートスリーパーだったかつてのワタシ。毎日1時間くらいしか眠れなかったんダヨ。それなのにこの急激な変化はいったい何なんだ。
知らん、そんなもん。
ヤキが回ったのさ。アーチストとしてはもう終わったも同然さ。だよな?
ワタシは躊躇なく寝る。逃げる。失神する。現実逃避する。眠る。
そのかわり朝めっちゃ早起きになった。
自然と未明に目がさめる。
早起きは悪くないフィールさ。
だって朝8時からマルコも見られるしね(写真)。
『母をたずねて三千里』が再放送している。これまた夢のようなドリームだ。初回から見たかった。慚愧の念に堪えぬ。
マルコをTVでやっているのなら、ガン見するしかナイ。ガン見しかできないし、してはナラナイ。マルコとはそんなもんさ。尊い物語なのさ。
「マ、マルコ!アメデオがいてくれてホントによかったね!」
俺はテレビに向かってオイオイ泣きわめく。
マルコよ、なんてぇ孤独な旅なんだよ?とてもじゃないがオメーみたいなガキ一人じゃ無理だろ?でも行くしかナイんだよな?手ぶらで帰るワケにはイカナイんだよな?マルコ、アメデオがいてくれてホントによかったな!
オイオイ泣く。そしてワタシにもアメデオがいてほしい。
本当にひとりぼっちだ。時折、どうしてよいかワカラナクなる時がある。
「泣き言いうな、キモヲタが!アーチストならばアートで自分を救わんかい!アメデオを創ってしまわんかい!」
うーん、そうだね、創ってしまおう。ワタシは元々美大で彫刻学科だったんだ。中退したけど。
だから久しぶりに彫刻してみよう。アメデオのオブジェを作ってみよう。そして人形に魂を注入させるんだ。可愛い人生の伴侶、アメデオ人形を創ってみよう!
俺はヒグマのように吠えると古新聞を部屋に敷きつめ、ためらいなくその上に大グソをヒリ上げた。
「ワーハッハー!作るゾ彫刻を!こねるゾ、粘土を!やっぱ俺は筋金入りのアーチストなんだなぁ!」
ちょっと待て!それは粘土じゃナイ!こねちゃダメだ!おい、しっかりしろ!やめてくれ!
「ワーハッハー!知るかバカヤロウ!コレは粘土だとか粘土じゃねーとか、そんなの知るか!」
俺は純真な少年のような表情で粘土細工を始めた。嬉々としながらね。
可愛いアメデオのブロンズ像を作るんだ☆素材へのこだわりはナイ。肝心なのは作品のクオリティーさ。違うのかい?
もうすぐアメデオは完成だ。そんな時、ワタシはふと作業の手を止めた。
虚空を見つめてビクリとも動かなくなった。
まったくの無表情。思考も何もナイ。
長い時間が過ぎた。
スクッと立ち上がるとケータイを取り出した。
「あ、もしもし?」
ワタシは淡々と話し始めた。
「精神病院ですか?本日から20年ほど入院させて頂けますか?そうです。今日、今すぐにです」
電話を切るとすぐに荷造りを始めた。入院の準備だ。急がなきゃ。
アメデオにはまだ石膏を塗りつけていない。てことはコレはブロンズ像ではなく『ただのウ◯コ』ってコトか?
「全部ウ◯コだ、バカヤロウ」
俺はふりむきもせず部屋から出て行った。
アデュー、皆さん。20年後にまた会おう。そんなのきっとアッと言う間だよ。

