2015年02月24日

壊れた洗濯機と他人の真心

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2月6日(金)


壊れた洗濯機を引き取ってもらうため業者さんに来て頂いた。午前中指定でお願いしていた。

身体の具合いが悪い時期だったので、重たいモノを運ぶのは早めに済ませて後は寝ていたかった。せっかくの休日だしね。そんな思惑が俺にはあった。

突然けたたましく電話が鳴った。

「誰だよ!ブッ殺されテーのか!一体全体誰なんだよ、こんな時間に!」

俺は飛び起きて電話に出た。

「はい、いつもお世話になっております。つのもりでございます」

「あ〜もしもし、アナタつのもりさん?今近くまで来てるんだけど、洗濯機を引き取りに行きますから!」

猛々しい男の声が聞こえた。

ええっ!なんか早くない?心なしか窓の外まだ暗い気がするんですけど?俺はチラッと時計を見た。

「ゲゲッ!ドキチ◯イが!まだ7時になってねーぜ!」

「AM 6:47」とデジタルは表示していた。

「ショックだ!朝6時台に誰かが訪問してくるなんて!頭がおかしくなりそうだ。精神的にテゴメにされたも同然だ。こんな現実、容認できると思うか?」

午前中指定したのは確かにこの俺だ。だからと言って朝6時台に来ることはナイだろ。チミならどうする?チミなら訪問できるのか?

「す、すみません!今起きたトコなんですッ!すぐにいらっしゃいますか?」

俺は寝起きの髪ボサボサ、目クソドバドバ、パジャマのゴム切れて半ケツ状態で業者に尋ねた。

「ええ〜!まだ準備できてないんですか?では30分後に行きますから、それまでに洗濯機をアパートの下に降ろしといてくださいよ!」

業者は荒々しく電話を切った。
俺はヘナヘナと半ケツ姿で崩れ落ちた。待ってくれよ、まだ朝6時台だぜ。責められるべきはホントに俺なのか?

10分後呼び鈴が鳴り響いた。

「つのもりさ〜ん!洗濯機引き取りに来ました〜!どこですか〜洗濯機ィ〜!」

精神異常者だ!30分後と言ったハズだぞ!キサマが30分後と言ったんだゾ!

「す、すみません!今から洗濯機を降ろしますから。ちょっと待っててください!」

俺は追いつめられ、テンパりながら謝り続けた。

毎日ペコペコ謝ってばかりの人生だよ。今日もそれが続くよ。だって仕方ナイだろ、洗濯機を下ろすの手伝ってもらったら別料金がかかるんだから。ノーモア別料金。俺が担いで降ろしちゃうよ。俺の根性をなめんじゃねえ。業者よ、すっこんでろ。俺の勇姿を指くわえて見てろ。

「た、助けて!動けない!背骨がバラバラに折れてしまう!誰でもいい、助けてくれ!」

俺は階段の途中で洗濯機を抱えたままプチギックリ腰になりワーワー負け犬のように泣きわめいた。

俺はこのまま階段を転げ落ちてゆく。頭を激打してクソ洗濯機の下敷きになって死んでゆく。
あんまりだ。こんなヒドイ死に方ってあるか?とてもじゃないが成仏できない。なるしかないよな、地縛霊にね。

「兄さん、あぶねえよ!」

グラグラに揺れる俺と洗濯機を背後からガッシリと業者が支えてくれた。

「狂ったのか?俺の洗濯機に触るんじゃねえ!なぜなら別料金だかだ!」

俺はオカマのような金切声を張り上げて業者を罵った。別料金を払うくらいなら死んだ方がマシなんだ。アンタもそろそろ俺の覚悟を知るべきだ。そうだろ?

「つべこべ言ってねえで手を離せ!ここは俺に任せろ!別料金なんかいらねえから!」

…生まれて初めて他人から親切にされた。信じられない。業者よ、キサマは損得なしで俺と向き合ってくれるのか?う、嬉しいぜ…。

マジで感動した。

業者の真心が犯罪者同然の俺の歪んだ魂に突き刺さった。業者に壁ドンされた。いや、洗濯機ドンだ。親切にしてもらうのって、こんなにもイイ気持ちなんだね。

俺は脱兎のごとく自販機へ走り、業者のためにあったかい缶コーヒーを買ってきた。

「本当にすみません。ありがとうございました…。」

俺はオズオズと缶コーヒーを差し出した。

「オール・ユー・ニード・イズ・業者」

この気持ちを伝えるのに缶コーヒーはいささかセコすぎるアイテムだ。でもこれくらいしか俺にはできなかった。

「よろしいんですか?」

恐縮した顔でコーヒーを受け取ると業者はニッコリと笑ってくれた。

なんか嬉しかった。俺も笑った。アンタが笑えばワタシも微笑む。

笑いながら原爆のような屁をコイて彼とグッバイした。メガグラッチェ、業者さん。

人には親切にしたり、されたりして気持ち良く生きていきたいぜ

「食人族」とかそんな映画ばっか見て育った俺が言うべきセリフではナイが、それでも親切心というのはイイものだ。

アンタらの笑顔は、ただそれだけで俺の心を溶かしてしまう。
だから鬼のような顔をするのはやめな。ずっと笑っていられるような世界はナイかな?なけりゃ探すか作るかしかねーのかな。やってみようか。たった一度の人生ダシネ。

俺はなにげなく冬の朝の空を見上げた。清々しい悪くはないフィールだった。

部屋に戻って即寝した。

やっぱり午前中指定とはいえ、朝6時台に来るなんてどうかしてる。
いくらなんでも早すぎんダロ!
posted by ツリー at 14:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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