11月6日(木)
ここ数日、また体のダルさが尋常でなく、仕事から帰ると倒れ込むように眠ってしまう。とてもじゃナイが起きてイラレナイ。そんな状態がずっと続いている。とにかくダルイんだよナ!
平気で9時間くらい眠る。それだけタップリ寝たにもかかわらず、目覚めた時の倦怠感や絶望感たるや筆舌にしがたいほどの苦痛なのである。
『は、早く家に帰って横になりたい!とにかく早く眠りたい!』
朝、目が覚めた瞬間にそう思う。
まだ寝床から出てもいないのに、外出してもいないのに、そう叫んでのたうち回っている。
コレはおかしい。明らかに普通じゃナイ。絶対死病にトリツカレタのだ。きっとそうに違いない!
そう思って俺は病院に駆け込んだ。全身くまなく検査してもらった。そのオソロシイ診断結果を俺は固唾を飲んで待ちわびた。センセイ、はっきり告知してくれ。俺は男らしく受け入れる。
医師はニッコリ笑って断言した。
『つのもりさん、良かったですね。全くの異常ナシです!」
俺は鼓膜が破れるほどデカイ屁をコイでその場にひっくり返った。
ええっ!何を言ってるんだテメエは?マジでダルイんだってば。おぞましい死病にトリツカレタんだってば!
「つのもりさん、やはり運動不足はイケマセンな。糖尿病での運動不足を軽く見てはイケマセンヨ!」
医師が俺にクギを刺す。言われてみれば確かに運動不足だ。そっちの方の努力はまったくしていない。
「いやぁセンセ、しかしワタシの場合は女どもとイチャつくのが充分な運動になってるんですよ。この絶倫パワー、なにせ『ペッティングがトライアスロン』と言われてる男ですからな!とにかくハンパじゃないんですよ。ハードなんですよ!俺とキスした女は翌日には総入れ歯ですからな!」
オイオイ、神聖な問診が下劣なエロ話に成り下がるのか?俺の性生活を聞き出そうなんてこのエロ医者の出歯亀根性にはガマンができんよ。
「とにかくですなセンセ、ワタシの場合1回エッチすると翌日から最低2ヵ月は会社を休まきゃナラナイんですよ。コトが終わって女とピロートークといきたいのですがその時にはナゼがワタシの肩は脱臼してるし、顔面は血まみれですし、どうやら叫び過ぎたようで声帯がズタズタになっていて全く声が出んのですよ!」
俺の話を聞く医師の頭髪が見る見る総白髪になっていった。
「どうもワタシの性生活は野性味あふれると申しますか、ワイルドすぎるようでしてな。いやはやお恥ずかしい限りです!絶倫パワーですよ、これがロックですよ!判りますか、センセイ!」
俺は自己の淡白な性生活を医師に打ち明けた。スターのゴシップをのぞき見たがるエロ医者にはちょっと刺激が強すぎたかな?
「…つ、つのもりさん、精神安定剤を大量に出しときましょう。そして地下のベッドが空き次第あなたを拘禁します。」
ええっ?何言ってんだよテメエは?だからずっとグーグー寝てるって言ってんだろ。そんなクスリ要らねえよ!それになんで地下室で縛り上げられなきゃナラナイんだよ。そんな団鬼六な治療法、俺には必要ナイぜ!
俺は頭にキタが病院から家に戻ると途端にまたクヨクヨし出した。
「絶倫パワー、絶倫パワー…。」と念仏のように唱えながらベッドに入った。クスリなんか無くとも俺はいくらでも眠れるぜ。
「とにかく疲れた…。俺はもうダメだ…。」
意味もなく声に出してつぶやいてみる。部屋の窓は開けっ放しにしているので肌寒い外気が俺の鼻の頭を冷やしている。昨夜辺りから急激に寒くなってきた気がする。
「とにかく俺はもうダメだな…。ここまで絶倫だとロックするしか道はナイじゃないか…。」
不意に両の目から涙がこぼれてきた。なぜだ、なぜ絶倫なのに泣く必要がある?ほら顔を上げろ。ポコ〇ンをオッ立てろ!
『ダメだ。俺はもうダメなんだ…。』
涙が全く止まらない。しかし手を伸ばしてウクレレをつかむ。そしてダルそうにポロポロ引き始めた。
作りかけの曲が山ほどあるんだ。泣いてるヒマがあれば曲を作らなきゃ。
信じようと信じまいと俺の『絶倫ロック』はまだ始まってもイナイんだ。


