2014年09月05日

40年ぶりに…

写真.JPG




9月2日(火)

大阪2日目。ライブ当日の午前中。ケータイショップ行ったりしながら自転車でフラフラした。ついでに散髪もする心算だった。

生家の近くに来た。
JRの阪和線は高架化されていて、生まれ育った街はかつての姿を残してはいない。

そんな中、まだ幼かった頃、いつもお世話になってた散髪屋さんが変わらぬ姿で営業してるのを見つけた。俺はなんだか嬉しくなり、そこで髪を切ってもらうことにした。

「あの、ワタシは生家がすぐ近くでして、ずっと昔、幼かった頃、もうかれこれ40年も昔ですが、こちらで散髪をして頂いていたんですよ」

そんな風に話しかけたら店主はすごく喜んでくれた。かつての街並みや風景などの話で会話が弾んだ。

「40年前ならちょうど私がここで働き始めた頃です。きっとあなたの髪も切らせて頂いていた事があるのかも知れませんねぇ」

店主は感慨深げに話してくれた。俺も胸がジーンとなった。

おぼろげな記憶だと、その当時俺の髪を切ってくれてた人の人相は、ゴワゴワのアイパーヘアでチョビ髭を生やした子門真人か青芝フックみたいな人だった。ありていに言えば、シンナー中毒のヒッピーみたいなオヤジという印象だった。

しかし時の流れは人の容姿を変えてしまう。40年ぶりに邂逅した店主は、今や優しい好々爺で、全くヒッピーでもハチのむさしは死んだのさ、でもなかった。

「ところで、どんな髪型になさいますか?」

デス・オブ・ハチのむさしが俺に尋ねる。

うーん、大阪のオッチャンに俺の先鋭的なヘアスタイルを説明するのはムツカシイな。
俺みたいなロックスターはやはりパブリックイメージが大切だから、トレード・マークになるようなヘアスタイルが必要なんだよ。アンタにそれが理解できるのかい?

「シャープな前髪パッツン」が俺の生き様だ。これがモッズ魂を失わない「さらば青春の光ヘアー」なのだ。
店主は当然そのようにヘアカットしなければナラナイ。フーやスモールフェイセスの写真を持ってきたらよかったよ…。

「あの〜、ももクロのしおりんみたいな髪型にしてもらえませんか?」

俺は清水の舞台はおろか、スカイツリーから飛び降りるくらいの覚悟で店主に言ってみた。しおりんって、やっぱジジイにゃ伝わるワケねーかな?

「へ?塩川正十郎ですか?」

店主は頓狂な声を張り上げた。

俺はケツの穴から激しい炎を吐き出した。宇宙ステーションから飛び立つスペースシャトルのように轟々と尻から火を噴き上げて空高く舞い上がった。
屋根を突き破り、成層圏を越え、地球を3周してから再び散髪屋に帰還した。

「ふざけんなよ、ジジイ!なんで俺が「塩ジイ」みたいな髪型にしなきゃなんねーんだよ!し・お・り・ん!わかる?我が愛、ももクロのしおりんみたいにしてって言ってんの!」

俺はトチ狂ったスナックホステスみたいに叫び狂った。だがいくら丁寧に説明しても、店主はしおりんが誰なのかワカラナイ。

「もー!具体的なイメージが説明できないんじゃ話が進まないじゃない!うーん、誰みたいな髪型って言えばいいのかなぁ〜」

俺は呻吟し悩み抜いた挙句、一人の具体的なイメージがひらめいた。

「そうだ!「鳳啓介」みたいにしてください!だったら判るでショ!」

俺ははじける笑顔で店主に提案した。これならオッサンでもわかるやろ?俺の伝えたい髪型のイメージがね。

「鳳啓介、了解いたしました!お任せください!」

店主はニッコリ微笑んで了承してくれた。そしてこの道40年のプロのハサミさばきをタップリ見せつけてくれた。

「ハイ、出来上がりました!これがお客さんご要望の「鳳啓介」ヘアーですね!よろしおまっか?」

店主はやり切った感丸出しの清々しい笑顔で俺に語りかけた。

鏡の中の自分の顔をのぞき込んだ。

鼻の穴からダムの放水のごとく濁流鼻水がドドドドドッと吹き出した。

「て、店主ッ!確かに「鳳啓介」に違いないがッ!」

俺は再びケツジェットで空高く舞い上がり、宇宙を3周して戻ってきた。

「ふざけんなジジイ!こんなの鳳啓介通りこしてただの「ブッシュマン」じゃねーか!こんな顔面で人前に出られるか!」

俺は怒りの怒髪天となり、店内をつるはしでメチャメチャに破壊した。テメエ今夜ライブなのに、これじゃあ人前に出られないだろがよ!

「いや〜、40年この仕事やってますけど、ここまで前髪短く切ったのは初めてですよ〜!勉強なりました!」

こらジジイ!感謝してんじゃねーよ!なんてコトしてくれたんだ。頼むから俺と一緒に死んでくれ。

しかし、彼は忠実にプロフェッショナルの仕事をやり遂げただけなのだ。昭和の職人の技術はハンパじゃない。「鳳啓介にしろ」と言えば職人の誇りにかけて、寸分たがわず俺を鳳に仕上げるのだ。ただし写真よりもさらに5cmオンザまゆ毛ではあるが…。

でもやはり腕の良い散髪屋さんというのは素晴らしいものだと実感した。
俺の顔面はより凶悪で醜くくなったが、ヒゲ剃りやシャンプーの時などホントに気持ち良かった。心のそこからリラックスできた。

「人の心のカユイところに手が届く」ってこういうコトなのかと心底感心した。職人さんってホントにすごいよな。超リスペクトだぜ!

ただし、この髪型に関しては粛々と裁判沙汰にする準備を進めている。

グラッチェ、店主よ!笑顔で握手して別れよう。そして次に会った時は法廷で血みどろの闘争をしよう。

ホントにありがとうございました。40年ぶりにお会いできて嬉しかったデス。また必ず来ますネ。
posted by ツリー at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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