
7月23日(月)
朝、『スパモニ』を見てたら。けしからんニュースがあった。
大阪のとある私立高校で有名大学への合格者数を水増し発表していたとのコトなのだ。
70名くらいしか合格してないのに、なんと倍の人数をサバ読んで公表していたらしい。
『我が校からはこんなにもたくさんの有名大学入学者を輩出しておりますよ!』
そのような偽りのPRをしてまでも生徒数を増やそうと画策していたのだ。
「この豚野郎ハイスクールが!キサマらのようなヤツラが日本の教育制度を著しく歪めるのだ!即座に廃校にしろ!」
俺はテレビに向かって吠え続けた。朝からどうにも怒りがおさまらん。
しかし吠え続けながらも俺は妙な違和感を感じていた。
どうもこの校舎といい、周囲の景色といいなんか見覚えがあるような気がしてナラナイ。
「ううっ、この学校ひょっとしてまさか!」
俺は深呼吸してもう一度画面を見る。そしてアナウンサーが『〇△高校では…』と卑劣学校の校名を口走った時、俺は泡を吹いてブッ倒れた。
『ううっ、この学校、完全に俺の母校じゃねーか!』
俺は思わず絶叫した。薄汚いニュース沙汰になってる恥さらし学校は、まぎれもなくワタシの出身校であった。なんともはやセコイ話で卒業生としてもお恥ずかしい限りであるが、このダーティーハイスクールは我が母校なのであった。
それにしても、サバ読んでたとはいえ有名大学に何十人も合格するようになるとは随分進学率が上がったんだな。
俺がいた20年前なんてホントどうしようもないバカ学校だったけどね。
有名な岸和田の『だんじり祭り』があると教師も含めて全校生徒の半分ぐらいが学校を休んでた。
祭りの一週間前から休みを取る教師もいたと聞く。教育者としての理念のカケラもない、『だんじり』に人生のすべてをかけているのである。狂い切ったサイコーな野郎だが、ある意味バカと紙一重である。
廊下やトイレで隠れてタバコを吸うのは返ってバレやすいので我々は教室で堂々と吸っていた。チャイムが鳴ると窓からポイ捨てするのである。冬場は換気しないので教室じゅうに煙が充満していた。
教師もタバコのコトなんかどうでもイイというか、全然平気みたいだった。『タバコごときは校則違反にあらず!』そんな風潮が漂っていた。
「シンナーぐらい吸ってもらわな、ワシもお前らをしばきにくいんや。」
この教師は体罰をしたいがために生徒にシンナーを吸えと言っているのだった。こんな発言、今だったらきっと大問題になるだろう。しかしあの当時は『もう高校生なんだからタバコくらい吸うに決ってるじゃナイか!』みたいなムードが教師サイドからもありありとにじみ出ていた。
冬のある日、みんなで昼メシの時間に教室でバーベキューをしようという話になった。
そもそも料理などしたこともないガキばかりである。何をどうすればイイのかサッパリ判らない。
「とりあえず鉄板持って来たわ。」
一人の愚連隊が言う。肉は皆で持ち寄った。
「コンロがないのう。」
焼肉なのに肉を焼けないかも知れぬ事態がやって来た。
「そんなモンいらんやろ。ストーブの上に鉄板を置けや。」
グッドアイデアだと皆が感心した。我々はストーブの上にバカデカイ鉄板を置くと、熱しないままイキナリ肉をてんこ盛りにブチまけた。
「焼肉やのに『ジュ〜』とか全然言わへんでぇ。」
「ストーブは火力が弱いのとちゃうか。つまみ『強』にしたらどないや?」
「そんな問題ちゃうやろ。だいたい肉を入れ過ぎなんや。お前、こんなもんひっくり返されへんやないか。」
見るからにバカそうな子供達がブツブツ言いながら箸を持ってストーブの周りを取り囲んでいる。
「だいたい早よせな5時間目始まんぞ!」
「でも肉、まったく焼けてへんちゅーねん。」
「なんか牛はナマでもエエらしいやん?とりあえず食うたらどないや?」
「既にブタも鳥もまざってるっちゅうねん!」
「あ〜ッ、チャイム鳴った!」
5時間目の教師がやって来た。教室じゅうが煙りとニオイでいぶりつくされている。さすがにバカには慣れっこの教師も度肝を抜かれたようであった。
『おんどれらッ、ストーブで肉を焼きさらすな!』
教師は絶叫した。
『ストーブで肉を焼くな』
あまりに真っ当すぎる指導ではあるが、この状況だと、そうとしか言い様がなかったのだろう。
「もったいないからちゃんと肉持って帰れよ!」
先生は授業を中断してビニール袋に肉を小分けするのを手伝ってくれた。
「ワシの分も肉、ひと袋くれや。職員室には黙っといたるさかい。」
教師は『肉のそでの下』を要求してきた。俺達はその卑劣さがなぜか嬉しくてブタと鳥の少ない牛の多く入った肉袋を先生にプレゼントした。
「お前らホンマにアホやのぅ。でも卒業してもヤクザにだけはならんとけよ!」
教師はさも愉快そうに笑っていた。俺達は毎日がただオモシロければそれでよかった。それが大阪魂なのであった。
生徒も教師もホントにバカばっかりだったが楽しい学校生活だった。
イジメなどまったくナク、クラスじゅうが一丸となって『アホなコト』ばかりやっていた。
今は進学校になってしまい往年のクレイジーさは影をひそめてしまったのだろうか。実に残念である。
人生は厳しくてツライことばかりなんだから人間は少しバカで鈍感なくらいな方がイイ。なんでも敏感に感じ取っていてはきっと頭がオカシクなる。
ただ『バカで鈍感』でも他人や仲間に対してはやさしくあって欲しい。『人情』がイチバン大切なんだ。イジメなんてもっての他だ。そこからは『笑い』なんて生まれない。
このセコイ水増しニュースはいかにも我が母校らしくて俺は誇りに思う。
生きて行く上で最も大切なコトはどんな時も『バカ丸出し』でいることだと思う。作為はなく自然に何をやってもバカなのがイイよね。
卒業生はみんなそんな人ばかりだから。在校生の皆さんも勉強なんかやめて誰も行きたがらないような最低バカ学校に戻って下さい。ゲットバック、大阪屈指のバカ学校!