5月23日(水)
昨日は麻布十番で打ち合わせがあったので出かけて行った。
ミーティングが終わり、ふっと一息。せっかく外出しているのだから少し歩くことにした。
「ほぉー、これが六本木ヒルズか!これがテレ朝か!」などとオノボリさん的に六本木界隈を徘徊する。
「ああ、クソッタレが、死ぬほどクソがしたくなってきたぜ!」
突然俺は怒号する。実は朝から腹の調子が悪かったんだ。
「どっかコンビニでも見つけて、そこでするまでだ。もし断られたら、その店は二度と営業できんようにしてやるぞ!」
俺は叫びながら歩き続けた。
しかし5分後、俺はもうまっすぐ歩けない状態になっていた。
「だめだ、一瞬にして限界が来てしまった。俺はどうすればイイのだろう?」
ヨロヨロと交番に入る。あまりにテンパった表情の為、ヤク中の通り魔にしか見えなかったのだろう。警官は俺に銃を向けた。
「う、撃つな!その前にトイレを貸してくれ。今すぐにだ!」
ポリス達も俺の事情を察してくれたようだ。
「すんませんが交番では設備の都合上トイレをお貸しすることは出来きないんですよ。」
「バカモンが!善良な市民が生きるか死ぬかの瀬戸際に立っているのだぞ!見殺しにすると言うのかキサマらは!」
俺は絶叫した。腹に力が入ったので少しモレたかも知れない。俺はあわてて交番を出た。
「そこの道を右に曲がってまっすぐ行けば公園がありますよぅ!そこのトイレでどうぞ!」
うしろからポリスの声が聞こえてきた。何を呑気なコトを言ってやがんだい。果たしてその公園までたどり着けるかどうか。無事クソができたら、あのポリ公どもは生かしちゃおかん。
子供達とママが共に遊ぶのどかな公園。
そこを俺はバレリーナのようなつまさき立ち歩きで横切って行く。その歩き方でなければモレるのだ。
明らかに異常者に見えたのだろう。一瞬にして辺りの空気が凍り付いた。
「ガキどもがッ!道を開けんか!さもなくば目の前でクソを叩き漏らすことになるゾ!」
俺はバレリーナ歩きのままトイレに突進していった。角森よ大丈夫か?果たしてお前は間に合うのか?運命のジャッジや如何に?俺はトイレのドアを蹴破って入った。
…ありていに言えば間に合わなかった…。今日から俺はウンコマンだ。ウンコキングの玉座に座ることになった。
「…クヨクヨするなよ。人生、負けるコトもあるさ…。」
公園のトイレの中で俺は呆然と立ち尽くしていた。ふと気がつくと全裸であった。
『このまま表に飛び出して最悪の変質者として子供達を追いかけ回してやろうか?いっそのコト人生を棒に振ってみようか?』
俺はあらぬコトを考えた。ヤケクソになっていた。しかし気を取り直しジーンズに手を伸ばした。
『ドッボ〜ン!』
その瞬間有り得ない音が聞こえた。何だ?何か落っことしたのか?しかし俺はすべてを了解していた。そして今からするコトがいかに報われないミジメなコトなのか充分に判っていた。それでも俺は確認する為に便器の中をノゾキ込んだ。
そこには俺のケイタイ電話が沈んでいた。海の藻屑と消えた戦艦大和のように哀しく沈みきっていた。
ツイてない時は何をやってもツイていないモンだ。別に驚くようなコトではない。ツライことにはすべて慣れっこさ。
ウンコマンは再び歩き始めた。なぜだろう、何だか妙にイイ気分だった。
「さあ、いつの日か俺はスターになってやるゾ!」
ウンコマンはガッツポーズをすると不敵な笑みを浮かべた。
説明するまでもナイがジーンズの下はノーパンだった。

